2023年9月8日(金)6時30分 婦人公論.jp
有田先生「セロトニンは、脳神経を鍛えることで分泌量が増える」(写真はイメージ。写真提供:Photo AC)
「医者の不養生」という言葉がありますが、多忙ながらも自らの健康をしっかりと保っている医師が長年続けている習慣があるとしたら、ぜひ知りたいですよね。そこで今回は、薬に頼らない病状改善の呼吸法などの指導を行う、脳内物質セロトニン研究の第一人者、有田秀穂先生が行っている健康術を紹介します。有田先生いわく「セロトニンは、脳神経を鍛えることで分泌量が増える」そうで——。
朝すっきり起きられない、急におなかが痛くなる、なかなか眠れない、食欲がわかない……。
このような体調不良を自覚して病院に行っても原因が見つからず、不安を抱えている人が大勢います。
脳内物質のセロトニン研究者の私からみれば、これらの不調はセロトニン不足の表れとも言えます。
体調面だけではありません。
ちょっとしたことに傷ついて落ち込んでしまう、すぐにイライラしてしまう、運動するのがおっくうだ、同世代の人と比べて老けて見えるなど、心理面や美容面での不調も、セロトニンの不足が原因である場合が少なくないのです。
セロトニンは、脳の活性化と密接に関わる脳内の神経伝達物質のひとつで、ストレスに負けない健全な心身の状態を保つ作用があります。セロトニンが不足すると、慢性的な疲労を感じるようになり、イライラしたり不眠症になったり、ひどい場合はうつ病になったりすることもあります。
セロトニンは数ある脳内物質の中でも珍しく、脳神経を鍛えることで分泌量が増える特異な物質です。
私は、脳内のセロトニンを活性化させる方法を研究し、実践しながら、多くの方に指導してきました。
その中から、まずは誰にでもできるセロトニン活性法の「ゆっくり吐く呼吸」を紹介します。
この呼吸法を5分ほど続けていると、セロトニンが活性化してきます。そして20〜30分ほどで活性のピークを迎えることがわかっています。ですから、最低でも5分、目標は20分として、毎日続けてみてください。
この呼吸法では、下腹部の筋肉を「意識しながら」行なうことが重要です。意識していなければ脳神経が働かず、セロトニンの活性にはつながりません。
座り方は自由です。座禅を組んでもいいし(腰や膝が痛む方は無理せずに)、普通のあぐらでもいい。椅子に座ってもかまいません。大切なのは、背筋が伸び、下腹部に力を入れやすい姿勢であることです。
下腹部に力を入れるコツがわからない人は、肛門(こうもん)を締めてみてください。肛門を締めると下腹部も締まります。
また、「余計なことを考えない」というのも大切なことです。お坊さんは呼吸に意識を集中させるために、「ひとーーつ」「ふたーーつ」と声に出して呼吸の回数を数えています。これを真似て、声に出して数を数えるのもいいでしょう。
「あーーー」「いーーー」「うーーー」など単純な言葉もいいかもしれません。いずれにせよ、余計なことを考えなくてもいいように、特別な意味のある言葉は使わないほうがいいでしょう。
呼吸に集中している最中に雑念が湧いても、無理に打ち消そうとする必要はありません。以前、お坊さんに「雑念が出たらどうしたらいいでしょうか」と聞いたことがあります。答えは「雑念に寄り添いなさい」でした。この答えは、脳科学の観点からも理に適っています。雑念を気にすればするほど、前頭前野の働きがそちらに向いてしまうからです。
この「ゆっくり吐く呼吸」を実際にやってみるとわかりますが、最初のうちは5分程度でも疲れるものです。疲れたら無理せずにやめましょう。
30分以上続ける必要はありません。なぜなら、それ以上やってもセロトニンが増えることはないからです。
一回の時間を延ばすことよりも、毎日20分続けることのほうが大事。3か月続けると、セロトニン神経の構造が変わってきます。
脳の働きが活性化し、多少のストレスには動じない心身がもたらされるでしょう。
感想:
&Buzzとしては、有田先生が研究されているセロトニンの活性化方法に非常に興味があります。セロトニンは健全な心身を保つために重要な物質であり、ストレスに負けずにイキイキとした生活を送るためには適切な分泌量が必要です。また、セロトニンの分泌量を増やすための「ゆっくり吐く呼吸」は手軽に実践できる方法であり、日常生活に取り入れることができます。私たち&Buzzは、この健康術を見守っていきたいと思います。
この &Buzzニュースは、Biglobe.ne.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。