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「細胞から考える」を掲げ、最先端の研究をベースにスキンケアアイテムやサプリメントなどを展開する「fracora(フラコラ)」。同ブランドが運営するYouTube番組「生命科学アカデミー」では、最先端の生命科学の知識を紹介しています。
私たちの細胞は、活性酸素によって酸化反応を起こし、「サビ」が進行します。この活性酸素をいかに抑え込むかが、老化や病気をコントロールするカギと言われています。
「生命科学アカデミー」は今回、活性酸素研究の第一人者である、同志社大学大学院生命医科学研究科の市川寛(いちかわ・ひろし)先生に、活性酸素の働きや、活性酸素に打ち勝つ体になるためのヒントについて語っていただきました。第3回目は、骨粗しょう症やサルコペニアを予防するための最新の研究について。聞き手は、生命科学アカデミーのHIROCO学長です。
——先生は、認知症が活性酸素によって引き起こされる可能性の研究を行なっているそうですね。
市川實教授(以下、市川):年齢とともに、体の中で活性酸素を消去する能力である「抗酸化能」は低下していきます。しかし、抗酸化能が低下する原因は、加齢だけとは限りません。例えば、体内で活性酸素を最も消去する物質はアルブミンですが、栄養状態が悪くなるとアルブミンが低下しますので、その能力を発揮できなくなっていきます。
——過度なダイエットをされている若い方なども、抗酸化能が低下する可能性があるということでしょうか?
市川:当然、起こり得ます。
——過度なダイエットは、見た目の老化や病気につながるかもしれない?
市川:老化は急に進まないと思いますが、何らかの症状が出てくる人はいらっしゃいますね。
——若い方でも、過度なダイエットなど、栄養状態が悪くなる行動には気をつけなければいけませんね。
市川:その通りです。抗酸化能を維持するために一番大事なのは、栄養と運動です。ただ、なかなかご飯を食べられない人もいますし、運動ができない人もいるので、私たちは、違う方法で活性酸素に打ち勝つ体を作ろうと考えています。
——認知症予防という観点から考えると、活性酸素に打ち勝つ体を作るにはどのような方法があるのでしょうか?
市川:認知症の予防で特に大事なのは、よく歩くこと、血圧を下げることと、ビタミンB群を摂ることです。特に、夜間の血圧を下げて、脳の循環を良くし、異常なタンパク質が溜まらないようにすることが大事ですね。生体の抗酸化能を高く維持すると、血圧はもちろん下がりますので、認知症の予防につながることに間違いありません。
高齢になってもしっかりご飯を食べられる方は、抗酸化能が高く、長生きです。それから、運動習慣がある方も、やはり抗酸化能が高くて長生きですね。
——閉経後、女性ホルモンの減少によって「骨粗しょう症」になったり、「サルコペニア」になってしまったりする女性も多いと思いますが、これを予防するためにも抗酸化能を高めることが必要でしょうか?
市川:サルコペニアとは、加齢によって筋肉が減少したり、糖尿病などいろいろな病気によって二次的に筋肉が萎縮したりする現象のことを言います。私たちの分野だけでなく、医療の全ての分野において問題視されていて、長生きするにはサルコペニアをいかに予防するかが大事と言われていますね。
私たちは、過剰な活性酸素にさらされることによってサルコペニアが引き起こされると思っています。なので、いろいろな手段を取って、抗酸化能を高めることが、サルコペニアの予防になると考えているんです。
運動ができる方や、ご飯をしっかり食べられる方はいいんですが、食が細くなったり、骨粗しょう症などが原因で骨折したりして、運動ができなくなったりする可能性もあります。そういう方でも、サルコペニアを予防できる方法を見つけ出したいと、常に思っておりますね。
——高齢になると、動けなくなってしまったり、寝たきりになってしまったりする方も多いので、社会的にも研究が急がれていると思います。
市川:そうですね。私たちがいま想定しているのは、膝が痛い、腰が痛いという方でも、筋力が落ちないようにする方法です。例えば、安全な範囲の超音波を適度に体に当てることによって、著しく高い抗酸化能を誘導できますので、それを、寝たきりの方も含めたサルコペニアの予防に応用したいと思って研究しているところです。
——人生120年とも言われている時代において、すごく注目されている研究なのではないかと思います。超音波を使った治療について、もう少し詳しく教えていただけますか?
市川:超音波の治療法について、血流を良くしたり、熱を上げたりという風に、物理的な力で治していると思っている方がたくさんいらっしゃると思いますが、実はそれだけではありません。人間の体では直接感じられないような、ごくわずかな超音波を当てることによって、細胞内の活性酸素を誘導することができるんです。それによる適用反応で、抗酸化能が高まることがわかっています。
——超音波は、体の悪いところに当てるのでしょうか?
市川:体の一部に当てることによって、体全体の抗酸化能が誘導されますので、どこに当てても大丈夫です。したがって、超音波によって、酸化ストレスが関連する病気は、全て予防できると考えています。
——寝たきりになった際の筋萎縮や、脳卒中後のリハビリなど、苦しい状態から抜け出すための研究が、いままさに進行中ということですね。
(第4回に続く)
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2022年は3年ぶりの行動制限のない年末。久しぶりに親や家族に会ったときにふと「親の介護」が頭をよぎる人もいるのでは? たとえ介護が終わっても、私たちの日常は続くから--。介護について考えることは親と自分との関係性や距離感についても考えること。人生100年時代と言われる今だからこそ、介護について考えてみませんか? これまでウートピで掲載した介護に関する記事も特集します。
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法蓮
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