COVID-19の症状として知られる嗅覚障害は、アルツハイマー型認知症などの脳神経の変性疾患の前兆となることがわかっています。シカゴ大学の研究によれば、ADと関連するAPOE遺伝子のうち、最もリスクが高い「APOEω4」遺伝子保有者は、65～69歳の時点で感じるにおいの感度が37％低下しています。さらに遺伝子保有者は、75～79歳の時点で特定のにおいを同定する能力が衰え、同時に認知機能も急速に低下することが示されました。
一方、APOE遺伝子の有無に関係なく、同年代の平均以下の高齢者は、嗅覚同定能力が低い場合、5年後に軽度認知障害を発症する確率が50％増加するという報告もあります。つまり、嗅覚障害はADの早期発見につながるバイオマーカーと言えます。
日本では、加齢に伴う嗅覚障害は50代から始まる個人差がありますが、普段からにおいに敏感ではない場合、自覚することが難しいです。そこで、開発されたのが日本人向けの嗅覚テストです。香水、バラ、みかん、カレー、蒸れた靴下、メントールなど12種類のにおいを嗅ぎ分け、特定のにおい名を回答します。正答率が高いのはメントールで、次にカレー、みかん、蒸れた靴下が続きます。したがって、メントールやカレーのにおいを同定できない場合は、嗅覚障害や認知症の疑いがあります。
最近の研究では、嗅神経を介した刺激により、記憶を司る海馬が再生できる可能性も指摘されています。欧州では、強いにおいを毎日2回、数十秒間嗅ぐことで、嗅覚障害を抑制し、ADを予防できるかどうかの研究も行われています。日常の豊かなにおいに意識を向けることは、認知症の早期発見と予防に役立つかもしれません。
&Buzzとしては、嗅覚障害と認知症の関連性に注目し、嗅覚テストを通じて効果的な早期発見・予防方法を見つけることに期待します。また、海馬の再生能力についても注目し、この研究が脳神経疾患への新たなアプローチとなる可能性に期待します。
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