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2023/9/6 大西淳子=医学ジャーナリスト
玉ねぎやりんごに多く含まれる「ケルセチン」という成分の摂取量が多い人は、心身の活力が低下した虚弱状態(フレイル)になるリスクが低いことが、米国の疫学研究(*1)で明らかになりました。
ケルセチンは、植物の苦味や色素の成分であるポリフェノールの一種です。ポリフェノールには活性酸素から身を守る抗酸化作用があることが知られており、ポリフェノールを多く摂取するとがんや動脈硬化のリスクが減り、フレイルの予防にも役立つ可能性があると考えられてきました。しかし、ポリフェノールの種類は8000種以上あり、どれを積極的に摂取すれば、フレイル予防効果を期待できるのかは明らかではありませんでした。
代表的なポリフェノールと、多く含まれる食品の例
フレイルとは、加齢により筋力や体の機能が低下し、精神的な活力や社会活動性が低下した虚弱状態のことをいいます。フレイルは健康な状態と要介護状態の間の段階で、高齢者の10~15%程度がフレイルに該当すると考えられています。
現在のところ、フレイルの危険因子として、運動不足と栄養不良(例えばたんぱく質の摂取不足)が重要視されています。先に行われた研究では、健康的な食事はフレイル発症リスクを50~70%低下させる可能性があると報告されており、そうした「健康的な食事」は、野菜・果物の摂取を推奨していました。野菜・果物にはフラボノイド(ポリフェノールに属する水溶性の植物色素の総称)が豊富に含まれています。
さらに、60歳超の高齢者では、フラボノイドが豊富なブルーベリーの摂取量が多い人ほど歩行が速いことを示した研究や、フラボノイドに属するケルセチンが、老化した細胞を除去することにより加齢関連の疾患(変形性関節症や心血管疾患など)を改善することを示唆した研究もあります。したがって、フラボノイドの摂取がフレイル予防に役立つ可能性はありますが、フラボノイドならどれもがそうした効果を持つのかどうかは不明でした。
そこで米国Beth Israel Deaconess医療センターのSteven Oei氏らは、中高年のフラボノイド摂取量、およびこれに属するいくつかの分類群の摂取量と、フレイル発症の関係を分析することにしました。対象としたのは、フラミンガム心臓研究に続いて行われた子孫研究に参加した米国の中高年の人々です。ベースライン(1998~2001年)でフレイルではなく、食事の内容と、分析に影響を及ぼす可能性のある因子(年齢、性別、総エネルギー摂取量、喫煙習慣、抑うつの重症度、糖尿病や心血管疾患、がんの有無など)に関する情報が収集されていた人を選出しました。
最後へ
年を重ねても運動機能や認知機能を維持し、健康寿命を延ばすためには、効果的な筋トレを行うことが重要だ。「抗重力筋」を効率よく鍛え、「筋肉と神経の連動」を意識し、負荷を適切に高めて筋肉量をキープしよう。
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年を重ねても運動機能や認知機能を維持するためには、効果的な筋トレが必要です。筋肉と神経の連動を意識し、適切な負荷を与えて筋肉量を増やすと良いでしょう。また、血糖値の高めの状態を放置すると、病気のリスクが高まる可能性があるため、血糖値を下げることに取り組む必要があります。LDLコレステロール値が高いと脂質異常症のリスクが上がりますが、適切な食事や薬の効果を活用することで改善できる可能性があります。これらの取り組みを通じて、健康を維持し、老化による機能低下を予防することが重要です。
&Buzzとしては、フレイル予防に役立つ可能性があるケルセチンや他のポリフェノールの摂取に注目し、日常の食事に取り入れることが重要だと考えています。健康的な食事や適度な運動を通じて、フレイルを防ぐための生活習慣を整えていきましょう。
この &Buzzニュースは、Nikkei.co.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。