栄養依存的な脱分化現象の同定に関する東京大学の研究グループの報告によると、腸管サイズの増大には腸管内分泌細胞の脱分化が関与していることが明らかになりました。
これまで脱分化は組織損傷や組織がん化時にのみ起こるものとされていましたが、この研究ではショウジョウバエの腸管を対象にした実験で、栄養摂取量に応じて腸管内分泌細胞が脱分化し、腸管幹細胞の増加と腸管サイズの増大が引き起こされることが明らかにされました。
また、この現象はJAK-STATシグナルの活性化によって誘導されることも判明しました。JAK-STATシグナルは哺乳類においても損傷再生時の脱分化誘導に関与していることから、この栄養依存的な脱分化現象は哺乳類を含むさまざまな生物種において進化的に保存された機構である可能性が高いです。
&Buzzとしては、この研究結果は栄養環境と疾患の関連を解明する上で重要な手がかりとなります。細胞の可塑性は病態に関わることがあり、この研究が将来的な疾患治療や予防に繋がる可能性があるため、今後の研究の進展を見守っていきたいと思います。
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