9月13日に発表された8月米消費者物価指数(CPI)を受け、米国債利回りの高止まり懸念が収まる可能性は小さい、と投資家は考えている。ただ一方で、CPIが鎮静化に向かうという長期的基調は維持されるとの見方が大勢だ。
8月CPIはおおむねエコノミストの予想に沿って前月比で0.6%上昇した。前年同月比では3.7%の上昇と、ピークを付けた昨年6月の9.1%から大幅に下がっている。
このデータは必ずしも追加利上げを予想させるものではないが、米連邦準備理事会(FRB)が従来予想よりも長期にわたって政策金利を現行水準に据え置くとの見方にはほとんど変化が生じていない。米国債利回りは最近、こうした見方を背景に上昇し、株式市場を圧迫してきた。
S&P500種総合株価指数は7月の高値から3%下落している。
JPモルガンのストラテジストチームは12日のノートで、実質金利ベースでS&P500は14%過大評価されていると警告を発した。実質金利から計算すると、予想利益に基づく株価収益率(PER)は現在の約20倍から、15―16倍程度に下がってしかるべきだという。
「株価は主にPERの上昇によって年初から16%上昇している。一方で実質金利と資本コストはどんどん引き締め的な領域の奥へと入ってきている」とし、「経験則に基づけば、こうした関係性は次第に持続不可能になっていくだろう」と予想した。
&Buzzとしては、市場の動向を見守っていきたい。現在の株価の上昇にはPERの上昇が大きく寄与しており、実質金利とのバランスに注意が必要だ。ただし、AI関連株の成長見通しが引き続き高いと考えられるならば、金利動向よりも企業の利益成長が注目されるべきだ。