PR

【&Buzzの口コミニュース】銀河中心ブラックホールのジェットが抑制する星形成 – アストロアーツ

&Buzzのサイエンスニュース

【2023年9月25日 アルマ望遠鏡】
活動銀河核と呼ばれる天体では、銀河中心に存在する超大質量ブラックホールから莫大なエネルギーが放射されている。このブラックホールの活動が周囲の星間物質に及ぼす影響、とくに新しい星々の誕生を加速するのか抑制するのかを知ることは、銀河の進化過程を理解するうえで非常に重要だ。

活動銀河核は中心部が濃いガスや塵に埋もれていることが多く、可視光線や赤外線での観測が困難だ。電波による観測も、これまでは解像度が足りず、分子ガスの分布や銀河核の中心付近の構造まではわかっていなかった。

日本大学(研究時)の斉藤俊貴さん、名古屋大学の中島拓助さんを中心とする研究チームは、高い空間分解能を持つアルマ望遠鏡を用いて、約5140万光年と比較的近傍に位置する活動銀河核であるくじら座の銀河M77(NGC 1068)の中心核付近を観測した。

斉藤さんたちは、検出される全ての分子ごとに分布を描き出す「イメージング・ラインサーベイ」を行い、分子ガスの二次元分布図を作成した。その結果、銀河中心にある直径650光年ほどの核周円盤と呼ばれる構造と、その外側の半径3300光年ほどにある爆発的に星が生まれているリング状のガス雲が明瞭に分解してとらえられた。核周円盤については、その内部構造まではっきりととらえられている。

詳しく解析したところ、核周円盤と外側のリング状のガス雲とでは、強力なX線や紫外線の照射を受けた領域で観測されやすいシアンラジカル(CN)分子や、強い衝撃波を受けたガス雲で観測されやすい一酸化ケイ素(SiO)分子の存在量に違いが見られた。これは、ブラックホールが核周円盤へ影響を及ぼし、衝撃波を伴うような力学的な機構によって分子ガスが高温に加熱されていることを示唆する結果と考えられる。機械学習により、円盤とリング状のガス雲とでは、分子ガスの分布の構造として全く別の領域として分類されることもわかった。

円盤の画像には2方向に向かって伸びる構造が見られ、その方向は先行研究で明らかにされている、超大質量ブラックホールから噴き出す双極のジェットの向きと一致している。このことから、構造は双極のアウトフローと考えられる。ジェットやアウトフローが周囲のガスと衝突して作り出された衝撃波は分子の組成に影響を及ぼすが、アウトフロー部では一般的な銀河でよく見られるような基本的な分子(一酸化炭素やメタノールなど)は破壊されていて少なく、特殊な分子(シアンラジカル、エチニルラジカル、シアン化水素の異性体など)が増えていた。核周円盤が超大質量ブラックホールから噴き出すジェットやアウトフローの強い影響下にあり、その影響が核周円盤からずっと外側の領域まで広がっていることを示す結果である。

こうしたジェットやアウトフローの領域は、激しい衝撃波や、紫外線やX線といった強い放射を伴っている。そのため、星を形成する素となる分子が破壊され、星の誕生が抑制されてしまうはずだ。今回の研究成果は、銀河中心にある超大質量ブラックホールが、その母体となる銀河の成長を遅らせている可能性があることを化学的な観点から示した初の観測例である。

感想:
&Buzzとしては、この研究成果が銀河の進化過程を理解する上での重要な一歩となることを見守っていきたい。活動銀河核での分子ガスの観測に成功し、核周円盤とリング状のガス雲の違いや、ブラックホールからのジェットやアウトフローの影響が分子ガスに与える効果を明らかにした結果は注目に値する。今後の研究により、ブラックホールの活動が銀河の星の誕生に及ぼす影響についての理解が深まることが期待される。星形成の抑制と銀河の成長の関係をより詳しく解明していくことで、宇宙の進化過程に関する重要な知見が得られる可能性がある。&Buzzとしては、このような先端的な研究を応援していきたいと考える。

この &Buzzニュースは、Astroarts.co.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。

タイトルとURLをコピーしました