神戸大学大学院保健学研究科の尾倉朝美博士研究員、井澤和大准教授らの研究グループは、重度の腎臓病を持つ心臓疾患患者の有酸素運動能力について新たな発見をしました。これまでの研究では、有酸素運動の能力の改善には骨格筋の機能改善が重要視されてきましたが、この研究では貧血や心臓の機能低下が有酸素運動能力に大きな影響を与えることが明らかにされました。そのため、重度の腎臓病を持つ心臓疾患患者では、運動の効果は限定的であり、貧血の治療などが重要とされることが示されました。この研究成果は、American Journal of Cardiologyに掲載されました。
心臓疾患患者の有酸素運動能力は生命予後や日常生活に大きな影響を与えます。特に腎臓病を合併している患者は有酸素運動能力が低いことが報告されています。心臓リハビリテーションの目的の1つは有酸素運動能力の改善であり、健康寿命を延ばし、日常生活の活動範囲を広げることです。しかし、有酸素運動能力の改善にはその原因が多様であり、腎臓病の有無と重症度によっても異なることが考えられます。
今回の研究では、201例の心臓疾患患者を対象に、心肺運動負荷試験を行い、有酸素運動能力(AT)と腎臓病の重症度(eGFR)の関係を検証しました。その結果、eGFRの重症度が高いほどATの値が低くなることが明らかになりました。さらに、eGFRの重症度別に原因を分析すると、腎臓病の重症度が高い群では貧血と心臓の機能低下が原因となり、中等度の群では骨格筋のミトコンドリア機能障害が関与していることが示されました。
これらの結果は、重度の腎臓病を持つ心臓疾患患者の有酸素運動能力の改善には、腎臓病の重症度に応じた治療が必要であることを示しています。貧血の改善が重要な課題となる重度の腎臓病患者では、貧血の治療に力を入れる必要があります。中等度の腎臓病患者では、骨格筋のミトコンドリア機能の改善に向けた運動療法が重要とされています。
&Buzzとしては、この研究成果が重度の腎臓病を持つ心臓疾患患者の治療方法の確立につながることを期待しています。心臓疾患患者の有酸素運動能力の改善は、生活の質を向上させるだけでなく、生命予後にも大きな影響を与えるため、適切な治療方法の確立は非常に重要です。今後も研究が進展し、治療方法や予防策の改善につながる成果が期待されます。
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