【マイドクター会員ご招待】ウェビナー開催 健康診断の結果が悪い人が絶対にやってはいけないこと
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2023/9/12 大西淳子=医学ジャーナリスト
肺がんの主要な原因はタバコであることが知られています。禁煙してもしばらくは、肺がんのリスクは上昇した状態が続きますが、そうした人たちが実際に肺がんを発症した場合、タバコを吸い続けて肺がんになった人たちと比べて死亡リスクが低いことが、米国の研究(*1)で示されました。
喫煙率の低下とともに、肺がんの発症率は低下していますが、5年生存率は低いままです。肺がんにはいくつかの種類がありますが、その85%は「非小細胞肺がん」というタイプで、このがんの危険因子として最も強力なのが喫煙です。
禁煙すれば健康にさまざまな利益があることは知られています。しかし、禁煙していた人が肺がんにかかってしまったときに、「禁煙してからがんの診断までの時間の長さ」と「累積喫煙量」が死亡リスクに及ぼす影響はほとんど知られていませんでした。
そこで米Harvard大学のXinan Wang氏らは、禁煙してから肺がん診断までの年数、および累積喫煙量と、肺がん診断後のあらゆる原因による死亡(総死亡)の関係を明らかにするために、肺がん患者の予後を追跡している観察研究「Boston Lung Cancer Survival Cohort」のデータを分析することにしました。
分析の対象としたのは、米Massachusetts総合病院で1992~2022年に「Boston Lung Cancer Survival Cohort」に登録された肺がん患者のうち、5594人の非小細胞肺がん患者です。これらの人たちを、喫煙歴に基づいて「非喫煙者(喫煙歴が全くない人)」「禁煙者(過去に喫煙していた人)」「喫煙者(登録時点でも喫煙していた人)」に分類しました。喫煙歴があった人については、1日の喫煙本数、累積喫煙量(1日の喫煙箱数の平均×年数、単位は「箱・年」)を尋ね、さらに、禁煙した人についてはタイムラグ(禁煙から肺がん診断までの年数)も調査しました。死亡の有無は、追跡期間中、定期的に確認しました。
5594人の平均年齢は65.6歳で、53.4%が男性でした。非喫煙者は14.2%、禁煙者は59.1%、喫煙者は26.7%でした。喫煙者の累積喫煙量は平均57.0箱・年と多く、禁煙者は44.3箱・年でした。禁煙者は、肺がん診断時の年齢が高く、68.4歳でした。非喫煙者は62.4歳、喫煙者は61.7歳でした。
【感想】
この研究から、禁煙した人が肺がんにかかっても、死亡リスクが低いことが示されました。また、「禁煙してからがんの診断までの時間の長さ」と「累積喫煙量」が死亡リスクに及ぼす影響も明らかにされました。これは禁煙の効果を証明する重要な研究であり、禁煙を促進するためには有益な情報です。&Buzzとしては、禁煙支援プログラムや情報提供などを通じて、禁煙を支えることが重要だと考えています。禁煙が健康に与える利益は多岐にわたり、これからも禁煙に関する情報を見守っていきたいと思います。
この &Buzzニュースは、Nikkei.co.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。