A.Sakamoto
マーケット
2023/09/10 11:30
09/10 11:30
画像はShutterstockのライセンス許諾により使用
国内大手取引所bitbankのアナリスト長谷川氏が今週のビットコインチャートを図表で解説し、将来の見通しを予測します。
取引所・その他サービス
9/2(土)〜9/8(金)の週次レポート:
今週のビットコイン(BTC)対円は穏やかな推移を続け、8日の正午時点で390万円に近づいています。
週明けの4日はアメリカが労働者の日で休日であり、BTCは380万円周辺で横ばいの動きを見せました。その日、オンライン暗号資産(仮想通貨)カジノのステークがハッキング被害に遭い、資金の不正流出が報道されましたが、市場への影響はわずかでした。
5日には米国市場で国債利回りが上昇したものの、ドル円相場の上昇がBTC円を支え、アジア時間には緩やかに上昇しました。その後、原油価格の上昇に伴い米国の国債利回りが更に上昇しましたが、ドル高円安の影響で相殺されました。
週の中ごろの6日には8月の全米供給管理協会(ISM)サービス業購買担当者景気指数(PMI)が市場予想を上回り、BTCは一時下落しましたが、ドル建てで前週の安値付近で買い戻され、米地区連銀経済報告(ベージュブック)で消費、雇用、物価上昇の減速が広範囲で確認され、徐々に回復を試みました。
7日には中国の8月の貿易統計が前月に続いて低下し、アジアの株式市場が弱含みました。BTCも下落しましたが、米国のマイニング企業であるストロングホールドが8月のBTC採掘量の増加を発表したことや、ライオットが自主的な電力削減でERCOTからエネルギークレジットを受けたことなどがマイニング企業の株価を押し上げ、BTCも反発しました。8日の朝には複数の米連邦準備理事会(FRB)高官の発言を受け、BTCは390万円近くまで上昇しました。
第1図:BTC対円チャート(1時間足)出所:bitbank.ccより作成
今週の5日には、米クリーブランド連銀メスター総裁、6日にはボストン連銀コリンズ総裁が追加の利上げに対して慎重な姿勢を示しました。また、7日にはNY連銀ウイリアムズ総裁やシカゴ連銀グールズビー総裁が現状の金融政策の効果を一定程度評価する発言をしました。
&Buzzとしては、これらの総裁の発言は追加の利上げの可能性を完全に排除したものではありませんが、先週の雇用統計などを受けて、これまでの積極的な利上げに対する姿勢がやや緩んできた印象です。
しかし、依然として一部の経済指標が景気の底堅さを示しており、8月の米国消費者物価指数(CPI)の発表や米連邦公開市場委員会(FOMC)の経済見通しの発表が控えているため、市場は積極的にリスクを受け入れる状況ではなく、7日の上昇には限定的な余地があります。
特に、来週の13日に発表される8月の米CPIは、7月から伸びが加速することが予想されており、FOMCを前にして市場のリスクセンチメントが悪化する可能性が高いと見ています。
それにもかかわらず、今週のBTCは米株の下落率や米国債利回りの上昇率と比較して、比較的頑強な推移をしていたと言えます。ドル建てのBTC相場は6日に前週の安値や2月の高値である25,200ドル付近でサポートを確認し、米CPIの発表まで26,000ドル付近での揉み合いが予想されています。
関連:bitbank_markets公式サイト
前回のレポート:売られ過ぎ水準のビットコイン、前週ほどの下げ余地はないか
感想:
&Buzzとしては、ビットコインの値動きは相変わらず注目されています。今週のビットコインは比較的安定した動きを見せ、頑強さを示しています。しかし、今後のリスク要因が増える中、市場のリスクセンチメントが悪化する可能性が高まっています。&Buzzは市場の動向を見守りながら、ビットコインの展望に注目していきたいと考えています。
この &Buzzニュースは、Coinpost.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。