坪井有寿生命科学研究科特定助教、近藤武史同特定講師(現:理化学研究所チームリーダー)、藤本仰一大阪大学准教授(現:広島大学教授)らの研究グループは、細胞シートを取り囲む細胞外マトリックスによって、細胞シートを3次元に折りたたむ仕組みを発見しました。
生き物が規則的な形を生み出す仕組みは未解明の重要な問題です。これまでの研究では、組織を構成する細胞が協調して変形や移動を行うことで、組織の形状が変わることが示されています。しかし、多細胞生物では、細胞が常に周囲の構造物により囲まれた状態で組織の形づくりが進みます。そこで、本研究では、ショウジョウバエの翅組織を対象にし、Dumpyという繊維素材の構築と解体が規則的な形作りの鍵になることを発見しました。
この研究成果は、細胞外マトリックスを介した組織と周辺構造物のダイナミックな相互作用が、3次元の規則的な組織の形を自在に制御することを示しており、器官の発生・再生に関わる生命科学・工学・医学などにおいて重要な知見となることが期待されます。
この研究の発見は、未知の形づくりの仕組みにつながるものであり、純粋な興味から始めた研究が想定外の発見につながることを示しています。
&Buzzとしては、今後の研究や応用の展開を見守っていきたいと思います。
参照:https://doi.org/10.1126/sciadv.adh2154
【KURENAIアクセスURL】http://hdl.handle.net/2433/284920
【書誌情報】
Alice Tsuboi, Koichi Fujimoto, Takefumi Kondo (2023). Spatiotemporal remodeling of extracellular matrix orients epithelial sheet folding. Science Advances, 9(35):eadh2154.
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ニュース記事:”【&Buzzの口コミニュース】細胞シートを3次元に折れたたむ仕組み発見―接着素材の構築・解体が正確な生体組織の「折り紙」を実現― | 京都大学”
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