2023年9月8日 20時47分
G20
アメリカやロシア、中国など各国の首脳らが顔をそろえるG20サミット=主要20か国の首脳会議が9日からインドで開催されます。会場がある首都ニューデリーでは、各国の首脳などが到着し始めていて、厳戒態勢が敷かれています。
G20サミットは、インドの首都ニューデリーで10日までの2日間にわたって開催され、長期化するロシアによるウクライナ侵攻の影響や気候変動への対応などが話し合われる予定です。
現地には、すでに日本の岸田総理大臣やイギリスのスナク首相などが到着したほか、このあと、アメリカのバイデン大統領も到着する予定です。一方、中国の習近平国家主席が初めてG20を欠席し、李強首相がかわりに出席するほか、ロシアもプーチン大統領のかわりにラブロフ外相が出席する予定です。
観光名所周辺の道路も封鎖され、観光客も入れないようになっています。現地の報道によりますと、およそ8万人の警察官が動員され、警戒にあたっているということです。
今回のG20サミットでは、首脳宣言をまとめられるかが焦点の一つとなっています。外務省によりますと、今回の首脳会合に先立って行われた関連の閣僚会合では、ロシアのウクライナ侵攻をめぐる各国の意見の対立などで、全会一致が前提の共同声明や閣僚声明の採択にはいずれも至っていません。一方、G20サミットでは2008年に始まって以降、首脳宣言が発出されなかったことはありません。日本としてはG7の議長国として、今回のG20の議長国のインドと連携して取りまとめに向けて調整を図る考えです。
G20サミットでは、世界経済の現状や成長に向けた議論も行われます。IMF=国際通貨基金はことし7月に公表した世界経済の見通しで、ことしの世界全体の成長率を3.0%と予測していて、4月時点の2.8%から0.2ポイント引き上げました。新型コロナの影響から各国の経済や社会が回復し、観光などサービス関連の好調さが支えているとしています。ただ、去年の推計の3.5%は下回っていて、経済の回復のペースは鈍ると見込んでいるほか、先行きについても下振れリスクがあると指摘しています。今回のG20では、こうしたリスクについても議論が行われる見通しですが、軍事侵攻が関係する点については日本を含めたG7=主要7か国とロシアなどとの間で対立が予想されます。
今回のG20サミットでは、ロシアによるウクライナ侵攻などで世界的な食料危機への懸念が懸念が高まる中、食料安全保障の強化に向けて参加国が一致したメッセージを打ち出せるかが焦点です。新型コロナウイルスの感染拡大や、エネルギーと食料の価格変動など複合的な要因やリスクによって世界的な食料危機への懸念が高まっています。ロシアによるウクライナ侵攻はこうした懸念に拍車をかけ、とりわけ、アフリカなどの開発途上国では、食料の調達環境がさらに悪化していると指摘されています。
今回のG20サミットや、合わせて行われる各国首脳との会談では、日本政府が東京電力・福島第一原発にたまる処理水の放出の安全性を科学的な根拠に基づいて説明し、国際社会の理解を広げていくことができるかが焦点です。東京電力は、福島第一原発にたまるトリチウムなどの放射性物質を含む処理水を海水で薄めた上で、先月24日から海に放出し始めています。
&Buzzとしては、G20サミットが開催されることで、国際社会の重要課題に対する協力や議論が行われる機会となることを歓迎し、見守っていきたいと考えます。特に、食料安全保障の強化や環境問題への対応など、世界の持続可能な発展に向けた取り組みが進展することを期待しています。