【ニュースの要約】
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理化学研究所の国際共同研究チームが、植物の免疫受容体の進化の軌跡を解明したと発表しました。350種の植物ゲノム情報を比較解析した結果、免疫受容体群と発生・成長を制御する受容体群は共通の祖先から派生し、それぞれが異なる機能を持つためのモジュールを獲得して進化したことが分かりました。この研究成果は、植物免疫の起源と進化を理解し、免疫受容体や発生・成長に関わる遺伝子を予測するための情報を得るのに役立ちます。
【ニュースの背景】:植物の免疫受容体の進化に関する疑問
植物が陸上に進出し、多様な微生物と遭遇する中で、植物は病原微生物を認識する能力を獲得しました。植物は細胞膜に微生物由来の物質を認識する受容体や、植物ホルモンを認識する受容体を持ち、これらの受容体によって免疫反応が誘導されます。しかし、これらの受容体は異なる機能を持っており、その進化の軌跡や関連性については未解明でした。この研究は、植物免疫の起源と進化を解明することで、植物のゲノム情報から免疫受容体や発生・成長に関わる遺伝子を予測するための情報を提供します。
【ニュースに関する知識】:植物の免疫受容体と発生・成長を制御する受容体
植物の免疫受容体は、細胞膜上の受容体型リン酸化酵素(RLK)と受容体様タンパク質(RLP)の二つのグループに分類されます。RLKはリン酸化酵素領域を持ち、RLPは機能的な領域を持たない特徴があります。これらの受容体は細胞膜上でリガンドを認識し、この情報を細胞内に伝達して免疫反応を誘導します。特に、LRR-RLPsとLRR-RLKsは植物において重要な役割を担っており、微生物由来の物質や植物ホルモンなどのリガンドを認識することで免疫反応や発生・成長を制御しています。
【ユース解説】:免疫受容体と発生・成長を制御する受容体の進化
この研究では、350種の植物ゲノム情報から受容体を抽出し、比較解析を行いました。その結果、LRR-RLPs型の免疫受容体群は発生・成長の制御を担う受容体群と共通の祖先から派生し、それぞれの機能に必要なモジュールを獲得することで異なる受容体へと進化したことが分かりました。また、免疫受容体と発生・成長を制御する受容体は共通の共受容体BAK1と結合する領域を持っており、この領域のアミノ酸配列が進化の過程で重要な役割を果たしていることがわかりました。さらに、免疫受容体と発生・成長を制御する受容体はモジュールを入れ替えることで異なる機能を持つキメラ受容体を作成できることも示されました。
【ユース感想】:免疫受容体と発生・成長を制御する受容体の進化に注目
この研究は、植物の免疫受容体と発生・成長を制御する受容体の進化の軌跡を解明した画期的な研究です。免疫型LRR-RLPsと発生・成長型LRR-RLK-Xbsは共通の祖先型から進化しており、その進化過程で異なる機能を獲得しています。また、モジュールを入れ替えることで異なる機能を持つキメラ受容体を作成することができることも示されました。これにより、植物のゲノム情報から免疫受容体や発生・成長に関わる遺伝子を予測することが可能となり、耐病性作物作出などへの応用にもつながると期待されます。&Buzzとしては、この研究成果を見守りながら、植物の免疫や成長に関わる分野がさらに進展していくことを期待しています。