腎機能の指標であるシスタチンCとクレアチニンの比が、骨粗鬆症性骨折の発生リスクの予測にも利用可能とする研究結果が報告されました。高知県の吉井クリニックの吉井一郎氏らの研究によるもので、詳細は「Journal of General and Family Medicine」に2023年4月20日掲載されました。
骨粗鬆症による骨折は、生活の質(QOL)を大きく低下させ、生命予後を悪化させることも少なくありません。
シスタチンCとクレアチニンの比(CysC/Cr)は、新たな骨粗鬆症のリスクマーカーとして注目されています。これらの指標のうち、クレアチニンは腎機能低下がマスクされやすいため、骨格筋量の低下とともに低値となることがあります。一方、シスタチンCは骨格筋量の影響を受けないため、骨格筋量が低下するとCysC/Crが上昇します。
吉井氏らの研究では、175人の患者を対象に、CysC/Crの高値が骨粗鬆症性骨折のリスクマーカーと関連していることが示されました。さらに、CysC/Crが1.345を上回る場合、骨折のリスクは6倍以上になると報告されています。
この研究結果は、骨粗鬆症のリスク予測においてCysC/Crの有用性を示しており、今後の研究や臨床応用の可能性を示唆しています。マーケティング担当者としては、この研究を注視し、将来的にはCysC/Crを用いた骨折リスクのスクリーニングや予防策の開発に期待したいと思います。