総合診療医の視点 -命を救う5分の知識-
RSウイルスのワクチンが承認されたことによって、高齢者の命を救う可能性が広がりました。厚生労働省の専門家部会は8月28日、60歳以上を対象としたRSウイルス感染症ワクチンの承認を決定しました。RSウイルスは高齢者が感染すると、ときに「死に至る病」となるため、ワクチン承認は大変喜ばしいことです。
まず、RSウイルスとはどのような感染症なのかを説明します。通常、秋から春にかけてせきがメインの風邪症状が現れる場合、RSウイルスの感染が疑われます。しかし、最近では夏にも流行することがあります。過去5年間を振り返ると、2020年の新型コロナ流行を除くと、春の終わりから初夏にかけてRSウイルスの流行が始まっていました。今年(23年)も5月から流行が始まり、8月以降は減少していますが、まだ終息とは言えない状態です。
RSウイルスは小児から高齢者まで誰もがかかる風邪の一種で、生後1歳までに半数以上、2歳までにはほぼ100%の子供が感染します。しかし、成人になると、「RSウイルス感染症の診断をつけられたことがある」という人は少ないです。それは、成人が感染しても軽度の症状で済むことが多く、医療機関を受診せずに自然治癒するケースが多いからです。また、もう一つの理由は「検査ができない」ことです。RSウイルスの抗原検査キットはありますが、保険診療では認められていないため、自費で検査を受けることもできません。
&Buzzとしては、高齢者を対象としたRSウイルス感染症ワクチンの承認は非常に重要な一歩です。このワクチンが効果的に普及し、高齢者を守ることができれば、医療負担の軽減や命の救済につながると考えます。今後の日米間のワクチン政策の違いや対策にも注目し、高齢者の健康と安全を見守っていきたいと思います。
(参照記事:【&Buzzの口コミニュース】RSウイルス、ワクチンで安心できるのは高齢者のみ)
この &Buzzニュースは、The MainichiのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。