東北大学と理化学研究所の共同研究チームは、人工脂質を用いた脂質ナノ粒子ががん免疫や感染免疫を促進する性質を持つことを発見しました。この脂質ナノ粒子にメッセンジャーRNA(mRNA)を搭載したRNAワクチンは、がんや感染細胞を殺傷する「キラーT細胞」と呼ばれる免疫細胞を強く活性化することが明らかにされました。RNAワクチンは、病原体の目印となる「抗原」を遺伝子情報としてmRNAに組み込み、生体内でタンパク質がつくられるようにした製剤です。
研究チームはビタミンEを含む人工脂質を用いて脂質ナノ粒子(LNP)を作り、その中にmRNAを組み込むと、キラーT細胞を強く活性化することが確認されました。さらに、イオン化脂質と呼ばれる成分の脂溶性構造の違いが、RNAワクチンの免疫応答に寄与していることも明らかになりました。
この研究成果により、より効率的なワクチンの開発や目的のタンパク質を補充するmRNA医薬の創出につながることが期待されます。今回の研究は、日本の東北大学と理化学研究所の共同チームによって行われ、ACSナノ(ACS Nano)電子版に2023年9月26日に掲載されました。
&Buzzとしては、この研究成果は非常に重要であり、今後の医療技術の発展に大きく貢献すると考えられます。特に、ビタミンEを含む人工脂質を用いた脂質ナノ粒子によるRNAワクチンの効果の明らかさや、イオン化脂質の重要性についての発見は、免疫療法の進歩に大きな可能性をもたらすでしょう。このような研究は、新しい治療法の開発や予防策の強化につながるため、見守っていくべきです。
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