2023年9月14日 18時27分 新潟県
ことし4月に着用が努力義務化された自転車用のヘルメットについて、警察庁が都道府県ごとに「着用率」を調べたところ、最も高い県では60%近くに達していた一方、2%あまりにとどまっている県もあって、地域ごとの差が大きくなっています。
自転車に乗る人のヘルメット着用は、道路交通法の改正で、ことし4月から努力義務になっていて、警察庁は7月時点の全国の地域ごとの「着用率」を調査し、14日、結果を公表しました。
調査では、自転車に乗っていた全国の5万2135人のうち、ヘルメットをつけていたのは7062人で、全国平均の着用率は13.5%でした。都道府県別で着用率がもっとも高かったのは愛媛県で59.9%、次いで大分県が46.3%、群馬県が43.8%などとなっています。一方、着用率がもっとも低かったのは新潟県で2.4%、青森県が2.5%、秋田県が3.5%などとなっていて、地域ごとの差が非常に大きくなっています。
警察庁が自転車用ヘルメットの都道府県ごとの着用率を比較できる形で公表したのは初めてで、着用率が高かった地域では、法律の施行前からの広報啓発が結果に表れたのではないかとしています。
愛媛県内では、自転車通学の高校生が犠牲となる事故が相次いだことを受け、平成27年以降、教育委員会が主導して通学時の着用を義務化するなど、普及に向けた取り組みが続けられてきました。その結果、警察が去年に行った調査では中学生と高校生の着用率はほぼ100%に達しました。ただし、世代が上がるにつれて着用率は低下していて、大人にどう促していくかが普及の鍵になっています。県警察本部交通企画課は「関係機関が協力して取り組みを推進した結果と考えている。引き続き自転車の安全利用促進に取り組んでいきたい」と話しています。
一方、着用率が全国で最下位だった新潟県。新潟駅前で街の人に聞きました。
新潟市に住む50代の男性は「理由はわからないです。自分が聞きたいくらい。新潟の人は冬場乗らないからじゃないですか」と話していました。聖籠町に住む19歳の学生は「髪型が崩れるのが嫌だとか、今まで危険な目にあったことがないとか、お金わざわざかけたくないとかそういうのがあるのかなと思います」と話していました。
着用率が全国で最も低かったことについて、新潟県警察本部 交通企画課 吉田良一交通調査官は「これまでも、着用を呼びかけるチラシの配布や街頭での指導などを行ってきましたが、非常に残念です」と話していました。そのうえで、「ヘルメットは頭部を守ることができます。車に乗るときのシートベルト、バイクに乗るときのヘルメットのように、自転車も車両なのでヘルメットを必ずかぶってほしいと思います。今後も街頭指導やSNSを活用しての呼びかけなど、県民の皆様へ着用をお願いしていきたい」と話していました。
また、自転車に関わる政策の調査・提言などをしているNPO法人「自転車活用推進研究会」の理事長 小林成基さんは、新潟県内で自転車用ヘルメットの着用率が低い要因について▽車道ではなく歩道を走っている人が多かったり▽自転車専用レーンがあるなど走りやすい環境に安心したりして、ヘルメットの必要性をあまり感じていない ことなどが考えられるということです。その上で、着用率を上げていくためにはヘルメットをかぶらないといけないという雰囲気づくりが大事だとして、「県や市の職員、警察官や消防士など公務員が意識的にかぶるという地道な運動が、ヘルメットの着用率につながると思う。まちぐるみで安全な環境をつくると同時に、自分たちを守るようにヘルメットをかぶるようにしてほしい」と話していました。
警察庁によりますと、全国でことし7月末までに起きた自転車乗車中の事故で死亡した人は167人で、このうち9割にあたる150人がヘルメット非着用でした。また、去年まで5年間に起きた自転車の人身事故の分析では、ヘルメット非着用の場合の死亡事故の割合が、着用していた場合の2.1倍になっています。警察庁は、今月21日から始まる秋の全国交通安全運動でも、自転車用ヘルメットの着用推進を重点項目に掲げ、呼びかけを強化していく方針です。
JAF=日本自動車連盟は、母親と幼児2人が乗った3人乗りの自転車と、1人が乗った自転車が出会い頭で衝突した事故を想定し実験を行いました。ヘルメットをつけていない場合の頭への衝撃の大きさは、後ろの座席の幼児で、つけていた時の17倍にのぼりました。また、JAFによりますと、子どもが乗った自転車が停止した状態で転倒した場合でも、ヘルメットをつけていないと頭への衝撃が3倍になり、脳に深刻な影響をもたらして、死亡事故につながる可能性があるとしています。
&Buzzとしては、自転車用ヘルメットの着用率が地域によって大きく違っていることは問題です。特に着用率が低い地域では、事故のリスクが高まる可能性があります。警察庁や地方自治体など関係機関が積極的に啓発活動を行っていることは良い取り組みですが、さらなる認知度の向上と啓発活動の効果を高めるためには、地域のリーダーたちや公務員が積極的にヘルメットを着用する姿を見せることが重要です。加えて、自転車専用レーンや走りやすい環境の整備も必要です。地域社会全体で協力し、自転車の安全利用促進に取り組むことで、ヘルメットの着用率を上げていきたいと思います。
(感想:300文字)
自転車用ヘルメットの着用率の地域差は気がかりです。特に新潟県の着用率の低さは憂慮すべきです。事故や怪我のリスクを減らすためにも、地域の関係者や市民一人ひとりが意識を高め、ヘルメットの着用を徹底する必要があります。地域全体での啓発活動や安全な環境づくりを通じて、ヘルメットの必要性を周知し、着用率の向上に取り組むべきです。&Buzzとしては、地域の安全利用促進に向けた取り組みを見守り、積極的に応援していきたいと考えています。