2023年5月、スマートフォンメーカーのFCNTが民事再生法の手続きを申請しました。しかし、その後、中国のレノボがスポンサーとして支援することが明らかになりました。FCNTはかつて富士通の携帯電話事業から派生した企業で、NTTドコモ向けに「らくらくホン」や「らくらくスマートフォン」などを供給していました。しかし、FCNTは携帯電話端末の開発や販売、修理事業を停止せざるを得なくなりました。
経営再建のため、FCNTはスポンサーを募っていましたが、レノボとの話がまとまり、9月中にも新会社を設立し、事業を再開する予定です。レノボはグーグル傘下のモトローラ・モビリティを手に入れており、スマートフォン事業で苦戦していた日本のキャリア向けの納入を拡充することができると期待されています。
しかし、FCNTの経営不振は、キャリアからの発注の減少や総務省による割引規制の影響も大きかったと言えます。総務省はスマートフォンの割引規制を定め、上限が2万円に制限されました。その結果、キャリアは2万円以下のスマホをメーカーから調達するようになり、中国メーカーがその需要に応える中で、FCNTも2万円台の「arrows We」を開発しました。しかし、円安と部材費高騰により、FCNTは調達に苦しみ、経営が悪化しました。
今回の救済策であるレノボの支援は、FCNTやNTTドコモにとっては一安心の出来事です。しかし、日本の通信業界の未来については懐疑的な意見もあります。日本のスマートフォンメーカーが外資の傘下に入ることで、日本の経済安全保障を考える上で問題があるとの指摘もあります。
&Buzzとしては、FCNTの経営再建は見守っていきたいと思います。レノボとの提携により、新たな可能性が広がるかもしれません。ただし、日本の通信業界の未来を考える上では、失ったものが大きいとも言えます。ソニーが唯一の日本メーカーとして残り、それ以外は海外メーカーとなってしまったため、日本独自の製品開発が難しくなってしまう恐れもあります。経済安全保障の観点からも、日本のスマートフォンメーカーを守り育てる必要性があるでしょう。