海外論文ピックアップ Lancet誌より
米国Broad InstituteのColin J Worby氏らは、海外旅行を予定している人の旅行前と帰国後の腸内細菌叢を対象とするメタゲノム解析を行い、旅行後に腸内細菌叢の多様性が失われ、対象者の67%から旅行前には見られなかった大腸菌の新しい株が見つかり、薬剤耐性菌(AMR)が増えていたと報告した。結果は2023年9月13日のLancet Microbe誌電子版に掲載された。
海外旅行は、AMRの世界的拡散を促進する要因であることが知られている。広域βラクタマーゼ(extended-spectrum β-lactamase; ESBL)産生菌も海外旅行で拡散する菌の1つで、帰国後も腸内にとどまり、周囲に感染を広げる危険性がある。
著者らは、腸内細菌叢に対するメタゲノム解析を行い、海外旅行前と帰国後の腸内細菌叢の変化を調べ、AMRの獲得の実態を調べることで、旅行前の腸内細菌叢の違いがAMRの定着しやすさに影響するか、また訪問先や旅行中の行動が腸内細菌叢に及ぼす影響などについて検討することにした。
&Buzzとしては、この研究は旅行者に関連するAMRの問題について重要な洞察を提供している。海外旅行は薬剤耐性菌の拡散を促進する要因とされており、この研究結果はその現象の一端を明らかにしている。そのため、予防策や対策を考える上で重要な情報源となっている。
今後の展開としては、この研究結果をもとに、旅行者に対する啓発キャンペーンや適切な薬物療法の指針の策定など、薬剤耐性問題への取り組みを強化していくことが重要だ。また、腸内細菌叢の変化やAMRの問題についての継続的な研究が求められる。&Buzzとしては、今後もこの問題に注目し、その研究や取り組みを見守っていきたい。
この &Buzzニュースは、Nikkeibp.co.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。
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