2023年10月1日 0時04分 コラム 株・円相場
新たなNISA制度の拡充により、個人投資家向けの優遇税制が導入される予定です。この制度は岸田政権の「資産所得倍増プラン」の柱として位置づけられており、来年1月から始まります。しかし、新NISAの利用方法についてはまだよくわかっていない人が多いようです。具体的な手続きは既に始まっているのでしょうか。そんな基本的な疑問について調べてみたいと思います。
日本取引所グループの山道裕己CEOは9月27日に「『貯蓄から投資』への動きが本当に起こりつつあり、歴史的な転換点に立っている」と述べました。新NISAは恒久化され、非課税期間も無期限化されるため、金融機関にとっても重要なビジネスの転機となるでしょう。
新NISAの利用には、まず銀行や証券会社で口座を開設する必要があります。1人につき1つのNISA口座を開設できますが、口座を開く金融機関によって受けられるサービスや取り扱い商品が異なるため、選ぶ際には注意が必要です。
もし他の金融機関に変更したい場合は、年に1回のみ変更が許されます。変更可能な期間は、変更を希望する年の前年の10月1日から、その年の9月30日までです。なお、変更したい年にNISA口座を利用している場合は変更できません。
口座開設に関しては現在、いくつかのパターンが考えられます。
1. NISA口座を持っていない人が新たに口座を開設する場合: 金融機関は現在調整中のため、具体的な手続きは未定です。ただし、現行のNISA口座を開設しておけば、新NISAが自動的に開設されます。
2. NISA口座をすでに持っており、同じ金融機関で新NISAを始める場合: 来年1月に新NISA口座が自動的に開設されます。
3. NISA口座をすでに持っており、別の金融機関で新NISAを始める場合: NISA枠が未使用で、変更手続きを今年9月までに終えている場合、現行NISAでの取引も可能です。そして来年1月に新NISA口座が自動的に開設されます。ただし、NISA枠を既に一部利用している場合は、今年10月以降に金融機関の変更手続きを行えば他の金融機関で新NISA口座を開設できるようになります。
これらの場合、現行のNISA口座の残高を非課税のまま他の金融機関に移管することはできません。具体的な手続きについては、金融機関のホームページなどを参考にしてください。
新NISAの開始まであと3か月ですが、注意すべき点はどこでしょうか。ファイナンシャルプランナーの風呂内亜矢さんによれば、「新しいNISAの口座をつくる際に注意すべきポイントは、株式の個別銘柄などを買える『成長投資枠』と投資信託の積み立て購入が中心の『つみたて投資枠』が併用できることです。リスクの高い商品も含まれているため、自分がどの枠でどの金融商品に投資しているのかを把握し、リスクを許容できるかどうかを理解しておくことが重要です」とのことです。
政府は「資産所得倍増プラン」に基づき、NISAの総口座数を5年間で3400万に倍増させることを目指しています。しかし、現行のNISAには未使用口座が一定割合存在しており(つみたてNISAでは全体の27%)、さまざまな課題が指摘されています。投資に慎重な人も多い現状を考慮し、金融機関は新NISAの仕組みやリスクについて利用者に丁寧に説明することが重要です。
10月2日には日銀の短観=企業短期経済観測調査が発表されます。自動車の生産が回復していることなどから、大企業・製造業の景気判断が2期連続で改善する可能性が高まっています。一方で、中国経済の減速や原材料価格の上昇が企業の景況感に与える影響が注目されています。また、9日にはノーベル経済学賞の発表もあります。
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