夏から秋に変わるこの時期、夜空の景色も変わりつつあります。夏の星座もそろそろ見納めとなっています。夏の大三角を作る星座で有名なのが「こと座・はくちょう座・わし座」ですが、同じくらい有名なのがさそり座です。さそり座の中でも特に注目されているのが、1等星の「アンタレス」と呼ばれる星で、21日の夕方にはアンタレスの上に月が重なる星食が起こります。今回はアンタレス食の情報とともに、さそり座の魅力を紹介します。
さそり座は古くから認識されていた星座で、夜空に「S字」の形を描いています。実際にはさそりは日本には存在しないのですが、昔からこの形を見立てて「うおつりぼし(魚釣り星)」と呼ばれていました。さそり座は現代では「誕生日の星座」としても有名で、黄道上に位置する12の星座のうちの一つとされています。ただし、現代の誕生月と星座の位置はずれており、例えば牡羊座の誕生月は4月ですが、実際の星座の位置は3月になっています。
さそり座はトレミーの48星座の一つで、2世紀前半の天文学者であるトレミーによって作られました。トレミーの星座は神話を持つものが多く、さそり座の神話としては冬の星座であるオリオン座と一緒に語られます。オリオンは狩りの名人でしたが、傲慢な態度や乱暴な狩りのやり方が大神ヘラの怒りを買い、さそりに刺されて命を落としてしまいます。さそり座とオリオン座は夜空で同時に見えず、入れ替わるように見えるため、この観察結果から神話が生まれたとされています。
さそり座を探す際の目印となるのが、アンタレスという1等星です。アンタレスは宮沢賢治の作品『銀河鉄道の夜』にも登場する「さそりの火」として知られており、都会の空でも赤い色が特徴的に光り輝いて目立つ星です。アンタレスは対となる星として付けられた名前であり、その対の星は火星です。アンタレスは火星に対抗するものを意味し、火星は戦争の神アレスと結びつけられています。
アンタレスは恒星であり、自身が光を発しているために明るく輝いています。また、赤い色をしているのは低い温度の星であるためです。恒星の色は高温なほど青白くなり、低温になると黄色や赤に変化していきます。アンタレスは非常に大きな恒星で、太陽の600〜800倍もの直径を持っています。一方、火星は地表が赤サビで覆われているために赤く見えますが、光を反射しているだけで光の発射源ではありません。
地球からアンタレスまでの距離は約554.5光年であり、火星までは約5分(約7700万km)です。このように距離の差があるにもかかわらず、地球から見るとアンタレスと火星は同じように見えることから、アンタレスの大きさと明るさがわかります。
さらに、21日の夕方にはアンタレスの上に月が重なる星食が起こります。これは珍しい現象であり、アンタレスの輝きが一時的に遮られることになります。アンタレス食は夏の終わりを告げる特別なイベントであり、見逃さないようにしたいものです。
夏の終わりを感じさせるさそり座とアンタレスの魅力を知ることで、夜空観察をより楽しむことができるでしょう。さそり座は古くから認識された星座であり、その神話も知られています。アンタレスは大きく明るい恒星であり、赤い色が特徴的です。また、アンタレス食のような珍しい現象も観測できます。&Buzzとしては、夜空の美しさと神秘を感じながら、さそり座とアンタレスの観察を応援していきたいです。
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