【2023年9月15日 レスター大学/NASA】
2022年6月22日、NASAのガンマ線観測衛星「ニール・ゲーレルス・スウィフト」はさんかく座にある銀河「2MASX J02301709+2836050」の中心付近でX線の増光現象を観測しました。このX線源は「Swift J023017.0+283603」と名付けられ、追観測が行われました。
初期の予測では、Swift J0230の光度は減衰するとされていましたが、追観測の結果、この天体は7〜10日間にわたって明るいX線を放射し続け、その後突然見えなくなる周期性現象が約25日ごとに繰り返されることがわかりました。
このような現象は過去にも観測されており、「準周期性爆発(quasi-periodic eruption; QPE)」または「周期性中心核突発現象(periodic nuclear transient; PNT)」と呼ばれています。QPEは数時間の増光現象で、超大質量ブラックホールの周りを公転する白色矮星の物質が定期的にはぎ取られ、X線が放射されると考えられています。一方、PNTは増光時間や周期が長く、主に可視光線を放射するとされています。
今回の研究チームは、Swift J0230の増光現象がQPEとPNTの中間的な性質を持つ新現象であり、「ミッシングリンク」と言えるものであると結論付けました。
さらに、研究チームはSwift J0230が太陽程度の質量を持つ恒星が、銀河中心の超大質量ブラックホールの周りを楕円軌道で公転しているという解析結果を得ました。恒星がブラックホールに近づくたびに、物質がはぎ取られてブラックホールに落ち込み、その際に強いX線が放射されると考えられています。
今回の発見により、太陽に似た恒星が比較的小さな超大質量ブラックホールに繰り返し物質をはぎ取られている現象が初めて捉えられたとされています。これまで知られていたQPEとPNTの現象の間を埋める新たな現象であり、今後の研究を見守っていく価値があります。
&Buzzとしては、このような新たな現象の発見は、宇宙の謎やブラックホールの性質についての理解を深める上で非常に重要な一歩です。今後の観測や解析によって、さらなる知見が得られることを期待し、研究チームの成果を応援していきたいと思います。
この &Buzzニュースは、Astroarts.co.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。