9月11日 午後3時のドル/円は、前週末のニューヨーク市場終盤(147.81/85円)に比べてドル安/円高の146円前半で推移している。写真は1ドル紙幣で、2021年11月撮影(2023年 ロイター/Murad Sezer)
[東京 11日 ロイター] – 午後3時のドル/円は、前週末のニューヨーク市場終盤(147.81/85円)に比べてドル安/円高の146円前半で推移している。一時は146円を割り込み、10日ぶりの安値圏で推移した。植田和男日銀総裁の発言で円金利が急上昇したことを受けて、円買いが進行した。
植田総裁は9日付の読売新聞のインタビュー(6日実施)で、賃金上昇を伴う持続的物価上昇に確信を持てればマイナス金利解除含め「いろいろなオプションがある」と述べた。「マイナス金利の解除後も物価目標の達成が可能と判断すれば(解除を)やる」とした。賃金と物価の好循環を巡っては、来年の賃金上昇につながるか見極める段階だとし、「十分だと思える情報やデータが年末までにそろう可能性もゼロではない」と語った。
植田総裁の発言で日銀の政策修正観測への警戒感が生じ、ドルは朝方からじりじりと水準を切り下げた。円債市場で10年金利が9年ぶり高水準となる0.7%台へ上昇すると、ドルは正午前後に146円半ばまで下げ幅を拡大。午後の取引でも一段と円高が進行し、ドルは一時145.99円の安値まで下落した。
市場では植田総裁のインタビュー記事について「かなり踏み込んだ発言が確認され、タカ派的な印象だった」(野村証券のチーフ為替ストラテジスト・後藤祐二朗氏)との指摘が出ている。ただ、インタビューは6日の実施で「(8日公表の)毎月勤労統計の下振れも考慮されておらず、総裁の発言は(6日当時の)足元の円安の加速に対してタカ派的なシグナルを示していたのではないか」(後藤氏)という。
今週は13日に米消費者物価指数(CPI)の公表を控えていることもあり、このまま円高が進むとみる市場関係者の声は少ない。「週末のインタビュー記事だけでは、一段と円高が加速するほどの材料になるとは思えない」(国内銀行・チーフ為替ストラテジスト)として、ドル/円は次第に日本の長期金利動向を見極めつつ米CPI待ちとなるとみられている。
テクニカル面では、「ドルが145円をキープできるかが焦点となりそうだ」(国内証券・チーフFXコンサルタント)といい、ドルが同水準を維持すれば円安地合いは続くとの見方も出ている。
ユーロ/ドルは1.0728ドル付近でじり高。ユーロ/円は156.87円付近で、下落基調となっている。
自民党の世耕弘成参院幹事長は12日の会見で、週末に読売新聞が報じた植田和男・日銀総裁のインタビューについて、金融緩和の継続が趣旨だと理解していると述べ、賃上げ・物価の好循環という本当の意味での2%目標達成には至っていない点で、政府・与党と日銀に見解の相違はないと語った。
みずほ銀行は12日、スキルマーケットを運営するココナラ(東京都渋谷区)と合弁会社設立で基本合意したと発表した。人手不足が深刻化するなか、法人向けにスキル・人材マッチングプラットフォームの運営・開発を行う。
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要約:午後3時のドル/円相場は、前週末に比べてドル安/円高の146円前半で推移しており、一時は146円を下回る動きも見られた。日銀総裁の植田氏の発言により、円金利が急上昇し円買いが進んだ影響があります。植田氏は、賃金上昇を伴う持続的な物価上昇が実現すればマイナス金利解除を含めたさまざまなオプションがあると述べ、好循環を確認次第解除する考えを示しました。この発言により、日銀の政策修正観測への警戒感が生じ、ドルは下落しました。今後は日本の長期金利動向と米国の消費者物価指数(CPI)の公表を受けた市場の動向が注目される予想です。
&Buzzとしては、このニュースを見守りたいと思います。植田総裁の発言がタカ派的であるとの指摘もあり、日銀の政策修正観測には警戒感が生じていますが、週末のインタビュー記事だけでは円高加速への材料になるとは思えないとの意見もあります。常に市場の動向に注意しながら、ドル/円相場の推移を見守っていきたいと思います。