初期の太陽系の状態を研究する上で、非常に年代が古い隕石の調査は有効な手段のひとつです。しかし、何十億年もの時間を遡って当時の様子を推定しようとすると、様々な問題や障害が立ちはだかります。
オーストラリア国立大学のEvgenii Krestianinov氏などの研究チームは、年代が古い隕石の1つである「チェック砂砂漠002隕石(エルグ・チェック002、Erg Chech 002、EC 002)」の分析結果を発表しました。その目的は、初期太陽系での重要な熱源であり、年代測定の手掛かりとなっているアルミニウムの同位体「アルミニウム26」の推定濃度を他の隕石と比較しながら調査することでした。
分析の結果、初期の太陽系におけるアルミニウム26の濃度はかなり不均一だった可能性が判明しました。この結果は、従来の年代分析の前提である「アルミニウム26の分布が均一だった」という考えを再検討する必要があることを示しています。
チェック砂砂漠002隕石は、45億年6500万年前に固化した安山岩であり、約45億6730万年前に太陽系が誕生したとされる時期に近い年代とされています。初期太陽系での岩石の融解が可能なほどの高温な環境が存在していたことを示す重要な手掛かりです。
しかし、最新の研究では、チェック砂砂漠002隕石の年代について再検討が必要であるという提案がなされています。マンガン53の崩壊で生じるクロム53の比率を調べる2つの独立した研究によれば、チェック砂砂漠002隕石が固化した年代は45億6556万年前(±59万年)もしくは46億6666万年前 (±56万年) と推定されており、これらの結果には1億年ものズレが生じています。
この年代のズレは、チェック砂砂漠002隕石の元となったマグマに含まれるより古い年代の岩石の影響がある可能性が指摘されています。この予測が正しい場合、チェック砂砂漠002隕石は分析する部分によって異なる年代を示す可能性があり、より細かな分析が必要とされます。
初期の太陽系における岩石の融解には、アルミニウム26の崩壊熱が重要な役割を果たしていました。アルミニウム26は半減期が70万5000年であり、太陽系誕生時には豊富に存在していたと考えられています。その崩壊熱は微惑星の主要な熱源の1つとなっていました。
しかし、アルミニウム26とマグネシウムによる年代測定が成立するためには、アルミニウム26の均一性が必要です。しかし、今回の研究結果は、初期太陽系ではアルミニウム26の分布が不均一だった可能性が高いことを示しています。
この結果から、チェック砂砂漠002隕石を含む古い隕石の年代推定について再検討が必要だとされています。最新の年代測定技術を用いることでより正確な年代推定が行えるようになり、初期太陽系についての理解が深まることが期待されています。
&Buzzとしては、この研究結果は太陽系の誕生と進化に関する知見を深めるために重要な一歩であると考えます。今後の研究によって、初期太陽系の物質の分布や岩石の融解状態についてさらなる詳細が明らかになることを期待しています。初期太陽系の謎を解き明かす研究は、現在の太陽系の理解にも貢献するものとなるでしょう。
この &Buzzニュースは、Sorae.infoのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。