ジェームズ・ウェッブ望遠鏡が撮影した「かに星雲」の新たな画像で特筆すべきなのは、星雲の中心にあるパルサーがはっきりと写っていることです。これはハッブル望遠鏡の画像ではほとんど目立たないという点です。
ジェームズ・ウェッブ宇宙望遠鏡は、アメリカ航空宇宙局(NASA)によって開発された最新の宇宙望遠鏡であり、かに星雲の新たな姿を捉え、詳細が明らかになりました。
星雲はガスと塵でできた雲であり、死にゆく星や爆発した星の残骸などから形成されています。これらのガスや塵は新たな星を育む材料となるため、星雲は星のゆりかごのような存在です。
かに星雲は天の川銀河においても複数存在し、その中でもジェームズ・ウェッブ望遠鏡は約6500光年先に位置するかに星雲にカメラを向けました。
2023年10月30日、NASAはかに星雲の新たな画像を公開しました。その中心部には「かにパルサー」と呼ばれる小さな白い点がはっきりと見えます。
かにパルサーは、約1000年前の超新星爆発によって生まれたものであり、かに星雲の中心部に残っています。パルサーは高速で回転しながら電磁波を放出し、周囲のガス状物質を大量に放出しています。
これまで、ハッブル宇宙望遠鏡は可視光での観測が中心であり、赤外線での観測は限定的でした。しかし、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡は赤外線の感度と空間分解能が高いため、かにパルサーが放出する荷電粒子を初めて詳細に捉えることができました。
「かにパルサー」が放出する荷電粒子は、強力な光を放射するシンクロトン放射光を作り出します。これはX線観測衛星によって観測されます。
写真に写るカラフルなガスや塵は、死んだ星の残骸であり、それぞれの色はイオン化された硫黄によって赤みがかったオレンジ色、イオン化された鉄によって青色、塵によって緑がかった黄色と見えます。
ジェームズ・ウェッブ望遠鏡の赤外線観測装置を使用してかに星雲を撮影したチームを率いるティー・テミムは、「放出された物質の組成、特に鉄とニッケルの含有量を正確に決定することができた」と述べています。
NASAによれば、来年にはハッブル宇宙望遠鏡が撮影したかに星雲の新たな画像が用意される予定であり、20年前の画像と比較することができるとされています。
&Buzzとしては、ジェームズ・ウェッブ望遠鏡による新たなかに星雲の画像は驚くべきものであり、宇宙の美しさと神秘性を再確認させられます。また、かにパルサーの詳細な観測結果が得られたことは、宇宙の進化や星形成に対する理解を深める重要な一歩となります。これからもジェームズ・ウェッブ望遠鏡を通じて得られる情報に注目して見守って行きたいと思います。
この &Buzzニュースは、Businessinsider.jpのニュースをAndbuzzが独自にまとめたもの。
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